日本海側特性 エゾユズリハ

皆さんのお宅では鏡もちをお供えしているだろうか。子供の頃、カマドや納屋にもちを飾ってくるように親に言われたことを思い出す。

 正式には、この絵のように飾るのだそうだが、我が家ではダイダイの代わりにミカン、裏白(シダのこと)の代わりにエゾユズリハだった。

 ちなみに、ダイダイは冬を経ても実が落ちないため「代代(だいだい)」に通じ、古い葉とともに新しい葉がしだいに伸びてくる裏白は「久しく栄えわたる」という縁起をかつぐという。


さて、今回の主役は「エゾユズリハ」である。
ユズリハは、高さ10mほどにもなるユズリハ科の常緑高木で、本州の中部から沖縄にかけて分布する。以前はトウダイグサ科だったが現在は10属ほどでユズリハ科を作っている。(いまだトウダイグサ科という見解もある。余談だが、クリスマス時期におなじみのポインセチアは高さ6mにもなる熱帯性のトウダイグサ科の植物だ。)ユズリハ(譲葉)の名の由来は、初夏に新葉が開くと夏から秋に2年葉が落葉すること、つまり新しい葉が伸びてから古い葉が落ちることから新旧の世代交代が絶えることなく続くということからついた。

 横手のエゾユズリハは豪雪に逆らわずに雪の下でつぶされながら春を待つ。その方が寒風にさらされることもなくかえって暖かい。主幹を作らず樹高は高くても3mほどだ。この特徴が日本海側特性で「エゾ」と言い分けられるゆえんだ。横手市内では、バラ園のあずま屋付近にみごとなエゾユズリハがある。

 北陸地方から東北日本海側にはこのほか日本海側特性を持つものとして、ユキツバキ(⇔ヤブツバキ)、ヒメアオキ(⇔アオキ)、マルバマンサク(⇔マンサク)などがある。