田仕事が始まるこの時期、田んぼのあぜに小さなルリ色の花が群落を作っていることがある。ヨーロッパ原産で明治初期に日本にやって来た、「オオイヌノフグリ」という植物だ。今では全国的に雑草と化している。
在来種として、「イヌノフグリ(赤紫で花が小さい)」があるが今ではこちらの「オオイヌノフグリ」の方が一般的だ。
1本のメシベと2本のオシベを持っているが受粉がおもしろい。まずは正攻法で、昆虫が止まると花は昆虫の重みで垂れて、慌てた虫がオシベに抱きつき虫の腹に花粉がつく。その後、別の花のメシベに行き受粉成功。
夕方、花がしぼみだすと左右に離れていたオシベは内側に曲がり、葯(ヤク)が直接柱頭に触れて同花受粉も行うという二段構えの受粉法。
和名は、この植物の果実が犬の大きなフグリに似ているのでついた。学名Veronica persica Poir(ウェロニカ ペルシカ)のウェロニカは、ゴルゴダの丘に向かうキリストに汗を拭うための布をささげたという伝説の女性の名前だそうだ。(なんと和名との落差の激しいことか)
そういえば、バチカン宮の宝物とされている「ウェロニカの布」は青ではなかったろうか。
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