冬期間、横手では緑が目につくことはほとんどない。その分、雪をかぶったナナカマドの赤い実が鮮やかに目に入ってくる。
バラ科の木だが花はほとんど目立たず、夏の終わり頃濃く茂った葉と赤い実のコントラストのせいで街路樹に使われるのだろうか。一年の中では紅葉が最も印象に残る木だ。
さて、ナナカマドとはどういう語源だろう。僕は音の響きを妙に気に入っている。牧野富太郎博士の「牧野新日本植物図鑑」では、この木は七回カマドに入れてもなお燃え残る。それが語源だ、となっている。しかし、実際に火をつけてみると生木でも燃えるほどだ。では、なぜナナカマドなのか。
昔、炭作りが盛んな時代、広葉樹を材料としたわけだが中でもこの木は備長炭を越えるほどの超高級品だった。炭作りは通常5日間ほどかけるがこの木は丁寧に7日間ほどかけた。七日竈(ナノカカマド)がナナカマドに変化した、というのが正しいと思える。
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