梅雨の季節になると、人間はジメジメしてうっとうしく感じますが、このシーズンを待ちわびている生き物たちもいます。
カタツムリもそのひとつで、湿気の多い時期が活動期であり、繁殖期です。冬の間、落ち葉の下や草の根元で冬眠していたカタツムリは、4月から5月にかけて目覚め、旺盛な食欲で体調を整えたころに交尾をします。
約一ヵ月後に、落ち葉の下や腐葉土に浅い穴を掘って産卵します。さらに一ヵ月後、赤ちゃんカタツムリが誕生します。孵化したばかりの赤ちゃんカタツムリも、ちゃんと巻いた殻を背負っています。何しろ生まれたその日から自分で食べ物を探し、外敵から身を守り、眠る場所を決めなければなりません。体は小さくても、一人前の生活をしていかなければならないのです。
カタツムリは雌雄同体です。集団で生活しているわけではありませんから、自然の中で相手に出会うのは容易なことではありません。そんな時出会った相手が同性だったら困ります。少ないチャンスを無駄にしないため両性の機能を備えていて、相手からは男性の働きを受け,同時に相手に対し男性の機能を発揮します。交尾を終えた二匹のカタツムリは、それぞれ産卵を行います。
産卵後、母親の役目を終えたカタツムリは自然の中に姿を消してしまうため、カタツムリでは親子の対面はありません。カタツムリについてもっと知りたい方は「カタツムリの生活」(大垣内宏著、築地書館発行)を見てください。
NACS-J 自然観察指導員 大垣内 宏
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